研究概要 |
巨核球系分化の分子生物学的アプローチとしてc-yes癌遺伝子蛋白のチロシンキナーゼ活性(TPK活性)のdown regulationが巨核球系分化に特異的であることを証明するのが本実験の目的である。昨年度の反省からこの目的にかなった細胞を得ることに主眼をおいた。 1)T-33細胞株の分化度が低下したので、クローニングによってPPO陽性率が高いクローンを得た。T-33-17を使って、最近注目されてきた巨核球系分化に関与する各種リコンビナント造血因子とTPA処理によって分化誘導をおこなった。この結果、T-33-17のGPIIbIIIaの陽性率は対照群の10%以下に比してTPA処理で50%に達し、造血因子(IL-6など)添加で50-100%に、造血因子+TPA添加群で100%に達した。 2)ついで、ラット骨髄より巨核球を免疫ビーズ法で精製分離し、血小板産生能に対する各種造血因子の影響をproplatelet formation(PPF)アッセイで検討した。このPPFアッセイではT-33細胞株と異なり、巨核球系分化の終末期に対するトロンボポエチン活性を検出できる。その結果、添加後2日目にIL-6とEPoに強いPPF活性を認めた。両者に強い相乗効果を認めた。 従って、T-33-17の分化誘導後のccll lysateおよび、IL-6,EPoを添加後一日目の巨核球を回収してこのcell lysateに関してc-yes癌遺伝子蛋白のTPKアッセイを開始したが、結論を出すにいたっていない。
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