研究概要 |
実験的異所性骨化過程における各型(1,2,10)コラーゲン遺伝子発現の解析:内軟骨性骨化過程および骨折創仮骨形成過程において最も重要な細胞供給源とされる骨膜細胞(cambium layer)の骨、軟骨細胞への多分化能について実験的異所性骨化過程について、in situ hybridization法によりコラーゲン遺伝子発現について検索した。採取直後の骨膜細胞は低レベルのI型コラーゲンmRNAのシグナルを認めたが、2,10型コラーゲンmRNAのシグナルは検出出来なかった。移植後5日目より骨膜間葉細胞は密に増殖し、骨,軟骨細胞への分化像がみられた。この移植片の組織像の中で10型コラーゲンmRNAの強いシグナルを示す多くの小型軟骨細胞を含み、Alcian blue弱陽性の非定型的軟骨様組織を認めた。移植後9日目では膜性骨化と内軟骨性骨化の両分化能を示す組織像が明瞭な境界をもって存在し、骨髄の形成も認められた。また、両者が混在して存在する領域が観察され、骨基質内に10型コラーゲンmRNAのシグナルをもつ小型ないし肥大化軟骨細胞が散在していた。即ち、骨膜未分化間葉細胞は、1型コラーゲン遺伝子を主として発現する骨芽細胞、2型コラーゲン遺伝子を優位に発現する軟骨細胞、さらに、早期より10型コラーゲン遺伝子の強いシグナルをもつ非定型的軟骨細胞への分化像を確認出来た。骨髄形成過程および骨折部仮骨過程においても、この早期に10型コラーゲン遺伝子を発現する軟骨細胞が重要な役割を担うものと考えられた。
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