私たちは軟骨に微量存在するXI型コラーゲンα1鎖の遺伝子発現調節機構の解析及び横紋筋肉腫細胞に発現する新しいコラーゲン鎖XIX型コラーゲンα1鎖の一次構造の解析を行った。 1.α1(XI)コラーゲン遺伝子の発現調節機構 私たちはヒトCOL11A1遺伝子の5′領域のDNA断片をクローン化し、主要な転写開始点を決定した。転写開始点の上流にはTATA boxはみられず数個のGC boxが存在する。この所見はPrimer extension及びRNase protection assayの結果とも一致した.この上流の1.6kb DNA断片はpromoter活性をもっており、5′側よりの欠失断片を使った実験では-541より-199の間に最も活性を有する領域が存在した。又この領域にはfoot printingにてDNA結合蛋白の存在が示された。又、-199より転写開始点の間にもSP1及びCCAAT結合蛋白の存在が予想された。 2.α1(XIX)コラーゲン鎖の一次構造 数個の重複クローンの塩基配列より予想されるこの蛋白のアミノ酸は1142個よりなり、そのN末端には18個のシグナルペプチドが存在する。五つのCOL領域及び六つの非COL領域よりなり、特にN末には291個よりなる大きな非COL領域が存在する。この部分には10個のCysが存在しα1(XVI)のNC11と50%近いhomologyが認められる。ノーザンブロット法でこの遺伝子の発現をみると、5′側のプローブでは0.7kbより12kbまでの11個のバンドがみられるが、3′側のプローブでは6kbと12kbの2本のバンドのみがみられる。このようにこのCOL様蛋白の一次構造及び遺伝子の発現様式は従来報告されているI-XVIII型コラーゲンのα鎖とは明かに異なる為、XIX型コラーゲンと名付ける。
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