BALB/cヌードマウスの腎皮膜下に異種であるF344ラットの胎仔胸腺を移植しておくと同マウスの免疫能が獲得される(TGヌード)。TGヌードの70%にぶどう膜網膜炎が発症する。この病変の対応抗原は光受容器間結合蛋白(IRBP)であることをウエスタン法とELISAにより同定している。 つぎに抗原蛋白のペプチドを合成することにより、エピトープおよびアグレトープの同定を試みた。そのためにまずLEWラットに強化免疫することにより病原性が確認されているウシIRBPのアミノ酸配列1179-1191位を中心に8種類のペプチド(1169-1191、1173-1188、1173-1191、1173-1194、1179-1191、1179-1194、1182-1191および1182-1194)を合成した。これらのペプチドと眼病変をもつTGヌードマウスの脾リンパ球のサスペンションを用いて、リンパ球増殖試験を行った。その結果TGヌードマウスのリンパ球はペプチド1182-1194、1179-1194および1173-1194に強い増殖反応を示した。このことはLEWラットに対するIRBPのエピトープと同様の部位をTGヌードマウスのTリンパ球もエピトープとして認識していることを示している。さらにリンパ球増殖能の強いペプチド1182-1194の1182(W)、1192(A)、1193(V)および1194(P)のアミノ酸それぞれ一個を(G)に置換し、リンパ球増殖反応を検討した。さらにペプチド1182-1194特異的T細胞株(CD4陽性でTCRVβ6を発現している)を樹立し、この株を用いて置換ペプチドによる競合試験を行い、このペプチドのアグレトープの同定を試みた。その結果、1182(W)および1194(P)がアグレトープであることが明らかとなった。
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