BALB/cヌードマウスの腎皮膜下に異種であるF344ラットの胎仔胸腺を移植しておくと同マウスの免疫能が獲得される(TGヌード)。TGヌードの70%にぶどう膜網膜炎が発症する。この病変はぶどう膜や網膜の血管周囲にリンパ球の浸潤、肉芽組織の形成、網膜の杆状体錐状体層と外顆粒層の破壊・消失、杆状体錐状体層や色素上皮細胞に対するIgG抗体の出現により特微付れられる。エフェクター細胞はCD4陽性のTリンパ球であることを明らかとした。この病変の対応抗原は光受容器間結合蛋白(IRBP)であることをウエスタン法とELISAにより同定した。 つぎに抗原蛋白のペプチドを合成し、TGヌードマウスの脾リンパ球を用いてリンパ球増殖試験を行うことにより、エピトープおよびアグレトープの同定を試みた。その結果TGヌードマウスのリンパ球はペプチド1182-1194に強い増殖反応を示した。このことはLEWラットに対するIRBPのエピトープと同様の部位をTGヌードマウスのTリンパ球もエピトープとした認識していることを示している。さらにペプチド1182-1194特異的T細胞株(CD陽性でTCRVβ6を発現している)を樹立し、この株を用いてペプチド1182-1194とその置換ペプチドによる競合試験を行い、このペプチドのアグレトープの同定を試みた。その結果、1182(W)および1194(P)がアグレトープであることが明らかとなった。
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