研究課題/領域番号 |
03670188
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
阿部 達也 秋田大学, 医学部, 助教授 (80128363)
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研究分担者 |
石田 和人 秋田大学, 医学部, 助手 (60006731)
吉村 堅太郎 秋田大学, 医学部, 教授 (90053058)
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キーワード | IL-3 / 粘膜肥満細胞 / 排虫 / 防御 / C57BL / 6マウス / 腸管 / Strongyloides ratti / Nippostrongylus brasiliensis |
研究概要 |
rIL-3をC57BL/6マウスに反復投与した後、ネズミ糞線虫を感染させると強い腸管での防御が観察された。顕著な防御は計10^4U以上のIL-3を5日間にわたり反復腹腔投与した時に誘導され、同量のIL-3を3日間で投与した場合は効果が弱く、10^5Uを1日で投与しても効果はなかった。したがって、IL-3投与により効果的な腸管防御を誘導するには4-5日を要する。防御効果に相関して腸管の粘膜肥満細胞(MMC)が増加した。IL-3投与したマウスに糞線虫を経口感染させると、感染後6時間以内で防御が観察された。したがって、IL-3投与により誘導される防御には抗原特異的な免疫応答は関与しないと思われる。この腸管での防御は経口感染された幼虫に対してだけではなく、移入された成虫に対しても効果があった。しかし、皮下感染の後、頭蓋腔で観察した体内移行幼虫に対する防御には影響がなかった。体内移行幼虫に対する防御にはマクロファージが関与するので、IL-3投与により体内移行幼虫に影響する形でのマクロファージの活性化は起きないと思われる。肥満細胞欠損W/W^vマウスではIL-3投与により糞線虫に対する腸管での防御を誘導できなかった。非感染マウスにIL-3を投与すると腸管腔内のMMC特異的プロテアーゼ濃度が200倍に増加し、MMC数も有意に増加した。したがって、MMCはIgE非依存性に脱顆粒することが分かる。糞線虫感染マウスの腸管MMCまたはIL-3投与で増加したMMCは電子顕微鏡により、顆粒の結晶化や融合像など顕著な変化を示した。以上を総合すると、IL-3投与により誘導される糞線虫に対する防御はMMCを介するものと言える。IL-3投与により誘導される防御機構はN.brasiliensisには効果がなかった。これは、MMC由来のメディエータに対する虫の感受性が異なるためと思われる。腸管線虫に対する排虫エフェクター機構は寄生虫の種により異なるであろう。
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