研究概要 |
1.LECラットにおける免疫学的異常に関する研究では以下のごとき結果が得られた。 (1)このラットのT細胞は胸腺内において、CD4^+CD8^+からCD4^+CD8^-T細胞への分化が障害を受けているが,CD4^-CD8^+T細胞への分化は正常であった。その結果、胸腺内ではCD4^+CD8^-T細胞で消失し、末梢においても著明に減少していた。 (2)T細胞レセプターの発現はCD4^+CD8^+、CD4^<1->CD8^+T細胞とも正常であった。また、胸腺内におけるMHC-classII抗原の発現も正常であった。 (3)このラットにおいては、T非依存性抗体産生は正常であったが、顕著に減少していたことからヘルパーT細胞の機能低下があることが明らかとなった。しかし、キラーT細胞は正常であった。 (4)また、このラットの脾細胞、リンパ節細胞ともLI-2、LI-4産生能とも対照正常ラットに比して明らかな低下が見られた。 2.LECラットのトキソプラズマに対する感染防御能と熱ショック蛋白質(HSP65)の発現に関する研究では、以下の結果が得られた。 (1)LECラットは遺伝的背景が同じでCD4^+CD8^-T細胞の機能も含めて、免疫機能が正常なLEAに比較してトキソプラズマに対する感染防御能が顕著に低下していた。このことから、ラットにおいてもトキソプラズマの感染防御にCD4^+CD8^-T細胞が重要な役割を果たすことが示唆された。 (2)トキソプラズマ感染ラットの腹腔内マクロファージ上のHSP65の発現はLECラットではLEAラットに比較して極端に減弱していた。このことから、ラットにおいても、マウスと同様に感染防御能の程度とHSP65の発現の強さに相関性があることが示され、またその発現に、CD4^+CD8^-T細胞が係わっていることが明らかとなった。
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