研究概要 |
抵pH域でトリポマスチゴートからアクスチゴートへの形態変化が促進されることに関し、光学的な顕微鏡観察では生理学的変化か、変性過程かわからないとの批判を受け、電子顕微鏡による観察と、構成々分の変化をウェスタンブロッティングによる観察する方法を併用いた。電顕では非増殖型のトリポマスチゴートの樹板状に開いたキネストプラスト線維が、増殖型の緻密なコイル状構造に変化する生理的変化がはっきり観察され変性変化は認められなかった。ウェスタンブロッティングではマウスで作られた副鞭毛抗原(分子量約70K)を認識する抗体を用いて、この抗原が形態変化とともに消失することを示し、形態変化が鞭毛を持たない増殖型のアスマチゴートに向かうものであることをあきらかにした。しかし私達は抵pHにおける形態変化を阻止する方法も、中性領においてトリポマスチゴートの生物活性を保ったまま48時間以上形態維持する方法も開発することができない。全血清の方がアルブミン単独よりトリポマスチゴート維持に有効であり、硫安分画では35-50%分画が最も有効であること,形態変化に伴い数個の蛍白抗原が原〓から失われるが、最も早く失われるものにトランスシアリダーゼがあることなどがわかったきた。このことから形態維持に関係する蛋白としてシアル酸を含むものが重要ではないかとの予想のもとにフェチュイン,フィブロネクチン,α_2マクログロブリンなどの影響を調べてみたが、見るべき効果は得られなかった。また家兎で作成した抗トリポマスチゴート抗体が培養に用いた牛血清のIgG,IgM,α_2マクログロブリンに反応することから、これらの成分の関与も調べられたが、やはり見るべき効果は得られなかった。
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