研究課題/領域番号 |
03670198
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
寄生虫学
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
名和 行文 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (10040172)
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研究分担者 |
堀井 洋一郎 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80173623)
今井 淳一 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (00039918)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 腸管寄生虫 / 動物モデル / 感染防御機構 / 肥満細胞 / 杯細胞 / 粘液 / 糖鎖構造 |
研究概要 |
小腸杯細胞粘液の質的量的変化が感染防御に重要な役割を果たしていることを証明するために 1)2種類の腸管寄生虫の一方のみが選択的に排除される実験モデルを確立し、それによって従来非特異的と考えられてきた粘膜型肥満細胞や杯細胞の感染防御における選択的な役割を証明すること 2)杯細胞の粘液が寄生虫の排除に関与することを示す直接的な証拠をin vivoおよびin vitroで呈示することの2点について平成3、4年度科学研究費の補助を受け、研究をおこなった。 1)腸管寄生虫に対し選択的排除を示す実験モデル動物の確立 ヌードマウスにSrとNbを混合感染させてIL-3を投与するとSrのみが排除された。反対に肥満細胞欠損W/WvマウスではSrの排虫が大幅に遅延するのに対し、Nbの排虫は正常マウスより48時間遅れるだけで、しかも、その遅延はSrの場合と異なり骨髄移植により改善されなかった。さらにラットやマウスでIL-3依存性粘膜型肥満細胞によって排除されるSrや、S.venezuelensisをスナネズミを感染させると排虫がまったく起こらないが、Nbに対する排虫は正常であった。したがって、三様の腸管寄生虫に対し選択的排除を示す動物モデルが確立できた。 2)杯細胞粘液の糖鎖構造の変化と排虫における意義 粘液糠鎖構造の変化がNbの排虫に重要であることを証明するために次のような実験を行った。まず初感染13日に得た″Damaged″wormを正常にラット小腸に移入して杯細胞の増加・粘液糖鎖末端の変化を誘導しておき、その3〜5日後に、初感染7日目に得た″Normal″wormを移入してやると、本来定着できるはずの″Normal″wormが48時間以内に排除された。ヌードラットに″Damaged″wormを移入すると、3日以内で90%以上の虫体が排除されており、この時に杯細胞数の増加は見られなかったが、粘液糖鎖末端の変化や粘液産生・放出量の増加が起こっていた。この状態のヌードラットの小腸内に″Normal″wormを移入すると48時間以内に85%以上の″Normal″wormが排除された。この結果から、宿主のT細胞依存性の免疫応答により″Damaged″の状態になったNb虫体はT細胞の関与無しに杯細胞粘液の糖鎖構造の変化を誘導できること、一旦粘液の性状に変化が起こると虫体が″Normal″でも腸管に定着できないことが明らかになった。
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