研究課題/領域番号 |
03670202
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
金田 良雅 東海大学, 医学部感染症学, 教授 (60051471)
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研究分担者 |
田中 朝雄 東海大学, 医学部感染症学, 助手 (50192175)
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キーワード | システィンプロテアーゼ / クルーズ・トリパノソーマ / ランゲル・トリパノソーマ / 侵入機構 / 赤痢アメーバ / 病原性 |
研究概要 |
寄生虫の宿主への侵入機構を明らかにするために、昨年度は細胞内侵入に関与する因子と考えられるシステイン・プロテアーゼの遺伝子をトリパノソーマ類から分離し、その塩基配列の解析を行い、比較検討が加えられた。今年度は染色体の解析に重点が置かれて研究が進められた。トリパノソーマの染色体をPulsed-field gradient gelelectrophoresisによって比較すると、ランゲル・トリパノソーマでは350Kbから1.7Mbまでの大きさをもつ14本の染色体が認められ、クルーズ・トリパノソーマでは比較的大きな18本の染色体が認められ、染色体の数と大きさに違いが認められた。ランゲル・トリパノソーマから得た酵素遺伝子をマーカーとして染色体上の遺伝子の位置をSouthern blot法によって解析すると、350Kbと470Kbの2つの染色体上に酵素遺伝子が存在していることが明かとなった。このことはmultiple genesまたはpseudogenesの存在を示唆している。更に、この遺伝子は1.7KbのmRNAとして発現されていることもNorthern blotによる観察で確かめられ、この酵素遺伝子は実際に発現されていることを示していた。 一方、赤痢アメーバについても病原性に関する分子生物学的解析を行った。病原性の異なる赤痢アメーバ株から抽出したRNAを比較した場合、両者の間に相違が認められた。このことは、病原性の異なる株間で異なった物質を生成していることを示唆するものと考えられた。この物質と赤痢アメーバの組織侵入性との関連性については今後追求する予定である。
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