研究概要 |
以前より得られていた抗ヒトC5aモノクロ-ナル抗体のリガンドであるヒトC5aに対するエピト-プを正確に決めるために,合成ヒトC5aペプチド(N末端側1ー21,C末端側55ー74,58ー74,64ー74)あるいは,ブタC5aペプチド(C末端51ー74)を用いて,RIA法あるいは,ELISA法を施行した。ヒトC5a desargをサンドイッチアッセイで測定できるかどうかで種々の抗C5aモノクロ-ナル抗体は3グル-プに分かれていたが,そのうちの1グル-プはN末端あるいはC末端に対して全く反応性を示さなかった。しかし他の2グル-プはC末端のペプチドと反応することが判明した。おもしろいことにその反応性はC末端側10残基にしても保存されていたが,それはC末端のアルギニンを除いた時にはじめて反応性が現われるものだった。この順向はブタのC末端側ペプチドを用いても見られた。 この2つのグル-プはヒトC5aに反応せずにヒトC5a desArgにのみ反応することはすでに知られていたが,C末端側のペプチドを使った実験から,確かにそれらのエピト-プはC5aのC末端側に存在し,C末端のアルギニンを除去した時にはじめてあらわれるということが,明らかになった。一般に10残基のペプチドは固有の3次構造をもつとは,考えにくいので,C末端のアルギニンが除去された時にC末端となるグリシンがモノクロ-ナル抗体のエピト-プに非常に重要と考えられた。しかもこれらのモノクロ-ナル抗体は糖鎖をエピト-プとしていない。(ヒトC5aは64番目のAsnに糖鎖が結合している)。他の1グル-プはC5aのコア-部分を認識していると考えられた。
|