研究概要 |
補体による生体防御反応に重要なC5転換酵素は,古典経路では,C4b,C2a,C3bの3分子集合体である。我々はすでにヒト補体系においては,C3bがC4b上のSer1217に選択的にエステル結合している亊を見い出していた。今回は,このエステルの結合反応が他の動物種でも起こる一般的な反応であるか確かめるために,マウスの補体を用いて解析した。まず,マウスの系でもC4b,C2a,C3bの3分子集合体が形成される亊を確認した。次に,ヒトC4のSer1217と相同な残基であるマウスC4のSer1213をsiteーdirected mutagenesis法により,Alaに変換したマウスC4を作製し,C3bとの反応を調べた。Alaに変換したマウスC4を作成し,C3bとの反応を調べた。Alaに変換する亊により水酸基を除去すると,C3bとのエステル結合が全く起こらなかったので,Ser1213が結合部位である亊が証明された。以上の亊から,C3bがC4b上の特定のセリン残基にエステル結合する反応が一般的な現象である亊がわかった。補体レセプタ-の生体防御における働きに関し,特にCR2の抗体産生における働きを解析した。モノクロ-ナル抗体を用いてCR2の機能を生体内で阻害すると,一次抗体産生,メモリ-形成が強く阻害された。この効果は,抗原の少ない時に著しかった。この亊から,少量の抗原に対する抗体産生には,CR2が重要である亊が証明され,補体系と抗体系のより密接な関係が明確になった。
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