抗酸菌の65KD熱ショック蛋白とアジュバント関節炎発症機序に関する基礎的研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03670218
• 研究機関: 佐賀医科大学
• 研究代表者: 小橋 修 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50112777)
• 研究分担者: 久木田 明子 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30153266) ; 大木 一憲 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30128128)
• キーワード: アジュバント関節炎 / 熱ショック蛋白 / 組換えDNA / BCG / 破骨細胞

研究概要

(1)BCG誘発関節炎ラットを作成し、末梢血液より継時的にリンパ球を分離し、M.leprae由来の65KD蛋白に対する反応性を ^3Hーthymidineの取り込みで調べた。次に、65KD蛋白を含まないアジュバンド活性物質、MDP、ploy I:C、アルキルジアミン投与によるアジュバント関節炎ラットを作成し、同様にして末梢リンパ球の65KD蛋白に対する反応性を調べた。関節炎発症ラットはアルブミン蛋白質に対する ^3Hーthymidineの取り込みに比較して有意に高い反応を示し、ツベルクリン蛋白質に対する取り込みとほぼ同程度の ^3Hーthymidineの取り込みを示した。以上の成績は、関節炎発症ラットでは、誘起物質の如何にかかわらず、65KD蛋白質に対する免疫応答が起こっていることを示唆している。
(2)次に関節炎発症局所で65KD蛋白質の発現がどのようになっているかを組織学的に検討した。ウサギに65KD蛋白質を免疫し、やく6000倍のポリクロ-ナル抗体を作り、関節炎組織における免疫組織学的証明を試みた。組織の切り出し、脱灰、固定等の点に問題があり、まだ十分な成績は得られていない。
一方、BCG培養上清からの65KD蛋白質精製では、十分量がとれなかった。方法を変更して、65KD蛋白質に対するcDNAを作成し、これをベクタ-につなぎ、大腸菌に発現させて65KD蛋白質大量に産生させる方法による精製を始めている。また、培養細胞を用いて65KD蛋白質に対する反応を調べる目的で、関節部位から得られる骨芽細胞や破骨細胞を培養し、種々の刺激を与えたときの熱ショック蛋白質の産生、発現に関する検討を始めた。関節炎発症ラットにおける骨芽細胞や破骨細胞と熱ショック蛋白質とのかかわりについて検討する予定である(共同研究者に加わった久木田明子が担当する)。

研究成果

• [文献書誌] Kohashi Osamu: "Bactericidal activities of rat defensins and synthetic rabbit defensins on Klebsiella pneumoniae(Chedid,277,and 8N3),Pseudomonas aeruginosa(mucoid and nonmucoid strains),Salmonella typhimurium(Ra,Rc,Rd and Re of LPS mutants) and Escherichia coli." Microbiology and Immunology. 36. 55-66 (1992)
• [文献書誌] Ohki Kazunori: "Constitutive production of granulocyte colonyーstimulating factor by hybrids of a SV40ーtransformed mouse macrophage and a renal adenocarcinoma cell line." Growth Factors. 5. 183-189 (1991)
• [文献書誌] Ohki Kazunori: "Opposite effects of bacterial lipopolysaccharide on Fcーreceptorーmediated phagocytosis of two bone marrowーderived macrophage cell lines,BDMー1 and" Cell Structure and Function. 16. 495-502 (1991)
• [文献書誌] Inai Testuitiro: "Immunohistochemical demonstration of amelogenin penetration toward the dental pulp in the early stages of amelohlast development in rat molar tooth germ." Anatomical Record. 229. 259-270 (1991)