研究概要 |
抗酸菌と大腸菌のシャトルベクタ-pYT937を構築した。このベクタ-は、有効なクロ-ニングサイトとして、PstI,HincII,XbaI,BamHI,BbvII,AatII,ScaI,GsuIの8ヶ所のサイトを有し、選択マ-カ-として、大腸菌ではアンピシリン耐性とカナマイシン耐性を、抗酸菌ではカナマイシン耐性を有するものである。このベクタ-の抗酸菌での複製に必要な遺伝子部分の塩基配列を決定した。2294塩基対で、70.1%の高いGC含量を有し、多くの繰返し配列が認められた。遺伝子配列、アミノ酸配列のホモロジ-検索の結果、既報の抗酸菌プラスミド及びデ-タバンクに登録されているいずれの遺伝子ともホモロジ-は認められなかった。260個及び311個のアミノ酸をコ-ドするオ-プンリ-ディングフレ-ムが認められた。このうち260個のアミノ酸からなる蛋白質に、DNA結合蛋白質に特有の性状が認められた。マキシセル法により、大腸菌での発現をみた実験では、いずれも発現されている可能性を強く示唆する結果が得られ、現在欠損変異株を分離し、さらに詳しく解析すると共に、BCG菌体内での発現を検討中である。ハイブリダイゼ-ション実験の結果、スクロフラシュウム菌、カンサス菌、スメグマ菌の染色体に類似の塩基配列があることが判明した。これらについてはさらに解析中である。このベクタ-にB型肝炎ウイルスのC抗原の遺伝子を挿入し、BCG菌での発現を検討したが、発現は認められなかった。発現に必要なプロモ-タ-部の組み込み、他の微生物由来の遺伝子の発現の有無などについて現在検討中である。
|