研究概要 |
我々はヒトH鎖遺伝子インストロンエンハンサ-3'側に新たなB細胞特異的な転写調節エレメンド「E6」を同定した。E6はそれ単独でB細胞内でエンハンサ-活性を示すが,HeLa細胞等の非リンパ球細胞では逆にサイレンサ-として働くことを我々は見い出した。本研究ではこのような特異的な転写調節活性を有するE6エレメントに作用するトランスアクティングな核内因子をコ-ドする遺伝子の単離を試みた。 neo遺伝子にconalbumin遺伝子のプロモ-タ-を結合させその上流にE6エレメントを6コピ-結合したリポ-タ-遺伝子を構築した。このリポ-タ-遺伝子とハイグロマイシン遺伝子を同時にHeLa細胞にトランスフェクションし,ハイグロマイシンで選択し安定形質転換株を樹立した。形質転換株のうちneoリポ-タ-遺伝子が1〜2コピ-組み込まれたneomycin感受性を有する細胞株を次に選択した。ヒトB細胞cDNAライブラリ-,マウス骨髄腫cDNAライブラリ-を作製し,SRαプロモ-タ-・エンハンサ-をもつベクタ-に組み込み,これをリポ-タ-遺伝子をあらかじめ導入してある上記のHeLa形質転換細胞にトランスフェクションし,ネオマイシンにて選択を行った。得られたneo耐性細胞株について,cDNA用ベクタ-DNAがゲノム遺伝子に組み込まれている細胞を選択的に取り出した。この細胞のDNAよりベクタ-DNAをプロ-ブとしてcDNAの単離を行った。得られたcDNAが確かに形質転換細胞で発現されている事を確かめた後,現在,この方法によりE6エレメントに作用する核内DNA結合蛋白の遺伝子のクロ-ニングを行っている。
|