研究概要 |
1.ヒトII型コラ-ゲン(IIC)反応性T細胞クロ-ン(Kー102)のTCR遺伝子DNAのクロ-ニングをPCR法を用いて行った(スイスロシュ社中央研究所グル-プとの共同研究)。その結果,V_βについては,Kー102はV_β12を保有していることが明らかになった。 2.米国ワシントン大学の金川博士との共同研究により,彼が作成したV_β12に対するモノクロ-ナル抗体(MoMb),MR11ー1がKー102と反応することを確認した。 3.このMoAbのpassive及びactiveなコラ-ゲン関節炎(CA)発症に及ぼす効果について検討した。その結果,(1)Kー102細胞の移入によるDBA/1マウスのpassiveCAの発症はMR11ー1の投与で完全に抑制された。(2)DBA/1マウスをIICで免疫した後、経時的な脾細胞及びリンパ節細胞をMR11ー1を用いた螢光抗体法で染色し,EPICーSで解析した。その結果,免疫後2週目頃からV_β12陽性細胞が出現したが,これらは,マウスにIIC免疫直後から,MR11ー1を反復注射しておくと,消失すると共に,関節炎の発症率が60〜80%抑制された。一方,DBA/1マウスと同じH-2^qハプロタイプを有するが,V_β12を遺伝的に欠損し,CA抵抗性のSWRマウスではIIC免疫後もV_β12陽性T細胞レパ-トリ-の出現は認められなかった。 4.ロシュ社のグル-プとの共同研究により,SWRマウスでV_β12のトランスジェニックマウス(tgマウス)を作成したところ,これらtgマウスのリンパ球上にV_β12が発現されているにもかかわらず,IIC免疫によってもCAは発症しなかった。しかし,これらtgマウスとDBA/1マウスを支配した(DBA/1×SWR)F_<1β>tgマウスではnonーtgのF_1マウスに比してIIC免疫によるCAの発症率の有意な増加を認めた。その結果,TCRV_β12は,何らかの機序でCA発症性に関与しているが,これのみではCA発症の十分条件ではなく,不明の他の因子と共同してCAを発症させる可能性が示唆された。
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