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1992 年度 実績報告書

非破壊放射光X線分析による生体中の微量元素の分布に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 03670261
研究機関筑波大学

研究代表者

下條 信弘  筑波大学, 社会医学系, 教授 (00080622)

キーワード非破壊放射光X線分析 / 有機水銀 / 腎 / 癌組織 / 微量元素 / SOD
研究概要

生体中の微量元素の大部分は金属酵素の構成成分である。また,メタロチオネインのようにアポ蛋白と結合し,肝や腎に貯留されている。本年度の研究目的はこれら金属を吸収して蓄積するあるいは排泄する腎臓中の微量元素を,前年度に報告した非破壊放射光螢光X線分析して二次元分布として明らかにした。対象とした試料は有機水銀を投与したラットの腎臓,年齢が異なった成人男性の腎臓並びに腎癌組織であった。腎癌に関しては悪性度とその広がり度合に関して検索した。これらに関する知見は,下記に示す通りであった。
1.有機水銀化合物を投与したラットの腎中の金属分布
メチル水銀,エチル水銀及びフェニル水銀をそれぞれ投与したラットの腎中の水銀,亜鉛,銅及びセレンの二次元分布を作成した。その結果これら微量元素は腎臓の髄質よりも皮質の方にいずれも高濃度に分布し,しかも,水銀は亜鉛,銅,セレンとの分布に高い相関性がみられ,水銀の動態にこれら在来性金属が関与しているものと考えられた。
2.事故死した22才,44才,及び61才の男性の腎臓中の金属分布
亜鉛,銅,セレンの金属分布はいずれも髄質よりも皮質に高濃度であった。又元素間の分布の相関性はいずれの元素間でもみられ,亜鉛と銅の間で高く,亜鉛と銅,構成成分であるSODの存在が示唆された。
3.腎癌中の微量元素分布の特異性
腎癌とそれに隣接する正常組織中の亜鉛,銅,セレンの分布は癌部位よりも正常組織に高く,更に亜鉛と銅,銅とセレンとの相関性は正常部位よりも高かった。このことは発癌によって生成するフリーラジカルがSODの活性を低下させ、構成成分である銅と亜鉛濃度が低下したものと考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 本間 志乃,下條 信弘: "非破壊放射光蛍光X線分析法による腎臓内微量元素の2次元イメージング(第1報)" 産業医学. 34. 142-143 (1992)

  • [文献書誌] 本間 志乃,下條 信弘,佐々木 明: "非破壊放射光蛍光X線分析法による腎癌中微量元素の2次元イメージング" 産業医学. 34. 268-269 (1992)

  • [文献書誌] 新井 淑弘 他: "金属水銀の生体内動態の及ぼす運動負荷の影響" 産業医学. 34. 464-465 (1992)

  • [文献書誌] 石田 弓子 他: "アルミニウム投与による脳内神経伝達物質の変動とリズム変化に関する研究" 茨城県衛生研究所年報. 30. 1-8 (1992)

  • [文献書誌] 本間 志乃,下條 信弘,内田 克紀: "非破壊放射光蛍光X線分析法による前立腺癌および前立腺肥大症摘出組織中微量元素の2次元イメージング" Biomed Res Trace Elements. 3. 175- (1992)

  • [文献書誌] S.Homma,I.nakai,N.Shimojo,A.Iida: "Nondestructive Synchrotron Radiation X-Ray Fluorescence Imaging of Trace Elements in Human Kidney." Photon Factory Activity Report. 9. 42- (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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