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1993 年度 実績報告書

呼吸器アレルギーと気道過敏性の疫学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 03670266
研究機関福井医科大学

研究代表者

日下 幸則  福井医科大学, 医学部, 教授 (70135680)

研究分担者 伊木 雅之  福井医科大学, 医学部, 講師 (50184388)
出口 洋二  福井医科大学, 医学部, 助教授 (80155481)
キーワードアレルギー / 喘息 / 金属 / コバルト / 喫煙
研究概要

近年、呼吸器を主座とするアレルギー性疾患が増加している。これまで、アトピー性などの遺伝的素因、花粉などの抗原、NO_2などの環境汚染物質、タバコなどのライフスタイル、等々の因子が、個別に、アレルギー性呼吸器疾患と関係付けられる研究が多かった。しかし、実際には、これら因子が発症に多因子的に関与していると考えられる。
本研究での職域コホートでは、感作性金属(コバルト)への曝露があり、従ってモニタリングにより、外因性感作性物質として定量が可能である。定期健診などを利用して、詳細に健康情報が回収できる。これらの利点を生かして、上記の解析を多変量的に行い、そのモデルを提出し、以てアレルギー性疾患の予防に資するのが、本研究の目的である。
そこで、本研究の最終年度に当たる今年度は、アレルギー性喘息の重要な発症の指標である総IgE値をエンドポイントとして、金属曝露濃度、喫煙との関係を多変量解析した。対象者は、当該事業所に採用される前に既にアレルギー性疾患を発症していた者を除く706名である。全員に職歴とライフスタイル歴を聴取した。コバルトに目下曝露している者について、個人サンプリングによりコバルト曝露濃度を求めた。総IgE値は、ファデバスPRISTを用いて測定し、その値を対数変換して分析に供した。
その結果、以下のことが明らかになった。
1.非曝露の喫煙男性において、非曝露・非喫煙の男性よりも総IgE値が有意に高かった。
2.既喫煙の男性では、非喫煙の男性よりも総IgE値は依然として高かったが、喫煙を中止してからの期間に応じて、総IgE値は低くなった。
3.コバルト曝露者において、コバルト濃度に相関して総IgE値は高くなった。
4.多変量解析の結果、喫煙と金属曝露が相加的に総IgE値を増加させていることが示唆された。
以上より、感作性物質に暴露される人達に対して、その物質への曝露を回避すること、そして喫煙を中止することが、両者共に予防に極めて重要であると思われる。

  • 研究成果

    (14件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (14件)

  • [文献書誌] Ichikawa,YE: "Changes of cobalt concentrations in blood and urine during a single exposure and repeated exposure to cobalt." J.Sci.Labour.67. 11-20 (1991)

  • [文献書誌] Hagihara,A: "Health risk appraisal(HRA)and its educational effect on bank employees." Ind.Health.30. 61-64 (1992)

  • [文献書誌] Shirakawa,T: "Specific IgE antibodies to nickel in workers with known reactivity to cobalt." Clin.Exp.22. 213-218 (1992)

  • [文献書誌] Kusaka,Y: "A pirot study to evaluate Japanese standard radiographs of pneumoconioses(1982)according to the ILO 1980 internationalclassification of radiographs of pneumoconioses." Ann.Occup.Hyg.36. 425-431 (1992)

  • [文献書誌] Kusaka,Y: "Healthy lifestyles are associated with higher natural killer cell activity." Prev.Med.21. 602-615 (1992)

  • [文献書誌] Kusaka,Y: "Determination of cobalt and nickel in the atmosphere at a hard metal industry." Ann.Occup.Hyg.36. 497-507 (1992)

  • [文献書誌] Kumagai S: "Autocorrelation of Short-Term and Daily Average Exposure Levels in Workplaces." Am.Ind.Hyg.Assoc.J.54. 341-350 (1993)

  • [文献書誌] 日下幸則: "有害物質暴露者の免疫学的特性-コバルト,ニッケル-." 公衆衛生.56. 167-170 (1992)

  • [文献書誌] 細田裕: "肺疾患の疫学-臨床経験から疫学へ-." 呼吸.11. 810-819 (1992)

  • [文献書誌] 日下幸則: "植物性粉塵による職業性肺病変-綿肺症は幻の疾患か-." 医学のあゆみ. 162. 787-792 (1992)

  • [文献書誌] 日下幸則: "感作性物質としての金属による健康障害" 産業医学. 35. 75-87 (1993)

  • [文献書誌] 近藤弘: "ライフスタイルと血液学的検査所見の関連性(第1報)" 産業医学. 35. 98-104 (1993)

  • [文献書誌] 日下幸則: "職業性金属アレルギーを“保健予防する"" 労働の科学. 48. 13-16 (1993)

  • [文献書誌] 日下幸則: "無機工業化学物質による職業性喘息:In 田中健一(編)アレルギー" 金芳堂, 12 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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