研究課題/領域番号 |
03670270
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
青山 公治 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70117472)
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研究分担者 |
上田 厚 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (10040198)
松下 敏夫 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10022790)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | 職業性 / 感作物質 / 呼吸器 / アレルギー / 許容濃度 / 量-反応関係 / TDI |
研究概要 |
本研究は、職業性感作物質による呼吸器アレルギー疾患の予防対策の樹立のための基礎資料を得ることを目的とした。予防対策としては、感作物質の予知、許容濃度表への標示およびそれらの量依存性感作反応の確認と許容濃度限界の設定が基本的事項であるとの認識のもとに研究を展開してきた。 職業性感作物質の許容濃度表への標示については、既に我々により作成された素案をもとにさらに文献的検索を進め、一部の物質についてグルーピングの改訂を行い、公表のための準備に入った。許容濃度設定のための動物モデルの開発では、モルモットに対する吸入感作・誘発を基本曝露様式として、TDIの感作濃度と誘発時の免疫学的反応との関連性の検討を行った。感作濃度は0.02ppm〜1.0ppmの4段階とし、吸入誘発はTDIのモルモットアルブミン(TDI-GPA)抱合体で行った。感作濃度と抗体産生との間に、また呼吸反応との間に量-反応関係が認められた。抗体産生と呼吸反応の強度との間にも量-反応関係がみられた。しかし、一部の動物は抗体産生はあるが呼吸反応を示さなかった。これは肺組織中のヒスタミン離の検索結果から、肺組織中の抗体分布に依存したものであることが推測された。一方、より産業現場の曝露条件に類似させた吸入誘発として、0.02ppmのTDI自身による誘発を行い、得られた呼吸反応の態様は抱合体の誘発によるものに比べてやや反応強度の点で弱かった以外はほぼ同様の成績を得た。以上の結果から、本実験モデルは感作性物質の量-反応関係を検討するに有用なモデルであること、感作物質自身による呼吸反応惹起は人への外挿をより容易にし許容濃度設定に際し誘発濃度も検討の必要があることが示唆された。また、抗体産生が感作物質の曝露指標またはヒスタミン遊離の有無が呼吸反応惹起の指標となりうる可能性が示された。また、これらを踏まえて、感作性の評価と許容限界の設定のためのフローチャートを作成した。
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