研究概要 |
生体内で各種の細胞間調節を行なっているのは生理物質であるサイトカインであるが、この中でも炎症反応等で重要な役割を演じるTGF,TNF,ILI,IFNなどの作用によって内皮細胞から分泌される補体蛋白産生が、どの様に影響を受けるかについてC3,C4,C5,factor B,factor H等を中心にほぼ概要を知ることができたので、その一部を報告した(川上、渡辺、植木他;日本免疫学会総会 1991年11月)。 継続中のアミノ酸配列の解析には、必要量の蛋白を集めるのに大量の培養上清を必要とするため、市販の細胞を使用するだけでは不十分であるので、本年度は、ヒト臍帯からの内皮細胞の初代培養を手掛け、多数のcell strainを樹立することができた。従って、必要な材料を蓄積中であるので、アミノ酸配列の決定は当初の予定よりやや遅れるが、平成4年度前半には完了すると思われる。又、一部の細胞については、SV40ウイルスのゲノムの一部をプラスミドに入れてトランスフェクトさせ、長期継代可能株の樹立を試みている。 又、計画の予定外であるが、今まで不明であった補体classical pathwayの初期因子であるC1,C4,C2の産生と分泌が内皮細胞にもあることが確認できたので報告した(中原、植木;第28回補体シンポジウム1991年7月)。これらの結果は現在、論文作成中である。以上、一応の成果は得られたものと思われる。
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