研究概要 |
一般住民のがん検診に対する期待度を知る目的で、平成3年9月、岐阜県内99市町村へ依頼し、それぞれで任意に選ばれた住民10名ずつ(未記入部分が多い25名を除く計975名)に近年の胃がん死亡率の減少が何に起因すると思っているかを調査した。合わせて、G県およびS県の医師会員の中から任意に選んだ24名について、ほぼ同時期に同様の調査を行った。減少分を100%とした場合のがん検診による寄与分を、一般住民は平均56%、医師も平均56%と回答した。次いで治療法の進歩の寄与分が高い(一般=29%、医師=24%)と回答された。発生率の減少によると回答したのはわずか(一般=10%、医師=15%)であった。 一方、がん検診はスクリ-ニング検査なので、いわゆる見逃し、精検への回し過ぎが生ずることは止むを得ないと断わって、それぞれの許容限界を同集団にたずねた。胃、肺、大腸、乳、子宮各部位のがん検診の見逃し許容限界は一般でおよそ1,100〜1,300人に一人まで、精検への回し過ぎは21〜23人まで、医師はそれぞれ250〜360人に一人、41〜25人までと回答した。上述の検診への期待度との相関は認められなかった。(期待度と見逃しとの相関係数r=0.045、精検への回し過ぎとの相関係数r=-0.008)。
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