研究概要 |
1984年から1989年までの6年間に、大阪府S市の基本健康診査を受診した者で、40歳から69歳までの者の実人数は、男1,237人、女3,022人、総数4,259人(延べ人数男2,643人、女7,404人、総数10,047人)であった。 これらの健康診査を受診した者の検査結果について、大阪府S市では、1984年以来、すべてのデータが記録保管されている。このうち、高血圧の治療中であった者、および何らかの不明データのあった者を除いて、男1,124人、女2,782人、総数3,906人(延べ人数男2,262人、女6,541人、総数8,803人)の診査結果をもとに、本研究は実施したものである。 本研究は、血圧値と肝機能検査値との関連について、横断研究、縦断研究、重回帰分析の各面から解析を行い、広く健康指標としての血圧値の意義を明らかにすることを目的として、実施したものである。 研究の結果、以下の結果が得られた。 1)GOT値、GPT値が高い区分に属する者ほど収縮期血圧値が高く、年齢、肥満度、飲酒状況、喫煙状況の補正を行っても、有意の関連が認められた。 2)重回帰分析においても、収縮期血圧値とGOT値との間に有意の関連が認められた。 3)健診を連続して受診している者について、GOT値、GPT値区分がより高い区分に移行した者の収縮期血圧値には有意の上昇、より低い区分に移動した者の収縮期血圧値には有意の下降が認められた。 以上の結果は、血圧と肝機能の間には一定の有意の関連があることを強く示唆しており、都市住民の健康管理における指標としての血圧値の新たな意義が示されたといえる。
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