脳卒中は寝たきり老人の最大の原因となる疾病であるため、市町村の機能訓練事業は寝たきり防止の地域的対策として重要である。本研究では大分県のK保健所における脳卒中情報システムモデル事業を支援して、地域在宅ケアシステムの推進を図った。 脳卒中情報システムでは、脳卒中患者の退院時に病院から保健所に連絡票が送られ、在宅療養に必要な医療情報が通知されることが取り決められた。これにより保健所に情報を集中して各市町村に早期に通達されることとなった。以後保健婦の訪問指導が迅速に行われ、市町村が行う地域機能訓練事業やデイケアへの参加が円滑に受け入れられることとなった。これと合わせて定期的な保健婦の巡回により患者の療養状況が把握され、医療機関との連絡がとられている。さらに、患者会、家族会を組織し、ボランティアの育成へと進展してきている。 一方、大分県下では少数の市町村しか実施されていないため、その理由を調査した。その結果として、 1)首長や担当課の取り組みが遅れていたこと 2)理学療法士、作業療法士が確保しにくいこと 3)機能訓練事業の実施場所が得難いこと などがあげられた。 この状況の解決を図るため、T保健所において、管内市町村の関係機関とともに、リハビリ推進運営協議会を開催して、連絡調整を行った。また、実務担当者による地域リハビリ検討会を開き、実施体制の整備と充実を図った。
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