研究課題/領域番号 |
03670298
|
研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
井尻 巖 香川医科大学, 医学部, 教授 (90113183)
|
研究分担者 |
飴野 清 香川医科大学, 医学部, 助教授 (50019626)
|
キーワード | 腸管吸収 / エタノール / 血中エタノール濃度 / 血中アセトアルデヒド濃度 / シアナマイド / ピラゾール / 門脈血流 |
研究概要 |
アルデヒド脱水素酵素阻害剤であるシアナマイドで前処理した犬の腸管ループ内に17%エタノールを注入したところ、血中アセトアルデヒド濃度の増加により、腸管からのエタノールの吸収が抑制されることが判明した。この原因は種々考えられるが、今回は門脈血流の影響について検討を行なった。まずシアナマイド及びアルコール脱水素酵素阻害剤であるピラゾールを各々単独で静脈内に注入したところ、門脈血流には経時的に変化はいずれもみられなかった。またエタノールをループ内に投与した群では門脈血流は経時的に変化しなかった。ピラゾールで前処理した犬にエタノールを投与し、血液中にエタノールを上昇させた群では、エタノールが高濃度となる60と90分後に門脈血流は20%前後減少した。一方シアナマイドで前処理するとエタノール投与後、血中アセトアルデヒド濃度の増加に伴ない門脈血流は徐々に減少し、150分後には投与前の50%以下まで減少した。なおピラゾールとシアナマイドで同時に前処理を行ないエタノールを投与した群では血中エタノールは著明に上昇したが、門脈血流にはほとんど変化はみられなかった。 以上の結果から、血中にアセトアルデヒドが増加することにより、腸管からのエタノールの吸収抑制は門脈血流の減少がひとつの因子と示唆された。 アセトアルデヒドはカチュールアミンを遊離することはよく知られており、門脈血流の減少が、これによるものか、交感神経を介するものかを検討する目的で、レセルピン、ヨヒンビンなどを使用したが、いずれも血中にアセトアルデヒドが増加すると死亡するなど、使用動物に問題があり、現在実験を行なうにあたってラットを使用して検討を行ってる。
|