研究課題/領域番号 |
03670303
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
森田 匡彦 札幌医科大学, 医学部・法医学, 教授 (00045353)
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研究分担者 |
池田 卓也 札幌医科大学, 医学部・法医学, 助手 (10222887)
田畑 典子 札幌医科大学, 医学部・法医学, 助手 (30128524)
舟山 眞人 札幌医科大学, 医学部・法医学, 講師 (40190128)
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キーワード | 脳死 / 脳組織 / 免疫組織化学 / 死後経過時間 / チューブリン / GFAP |
研究概要 |
ヒト脳死体の脳所見について検討する際に、実験的に使用された動物の脳所見と比較することがしばしばある。これは日常的なことではあるが、後者が計画的に処理され、特に脳摘出後の時間経過が正確に把握できるのに対し、前者は人間であるが故に、実験的に計画に従って検討することは考えられず、ヒトの死後経過時間を確定することが最も困難な問題の一つといえるという点で、決定的に異なる。一般的には、実験によって動物から得られた結果を基に、その中の、最も近い所見をヒトに当てはめることが行われている。脳死の脳における変性の経過を、特に時間との関係で追究しようとする際には、死に至るまでの過程と、死後の、死体が置かれていた環境条件が互いに類似性に乏しいことが多いために、一概には断定できない。しかし、形態学的な追究は様々な手段、方法の中でも、客観性があり作業が割合容易であるために、主として形態学的な検討を行った。いずれも、ヒト脳組織のパラフィン切片による特殊染色である。 1)Tubulin染色では、脳に障害のなかった例を対照とすると、明らかに染色性の低下が認められた。 2)動物実験による脳所見の追究が、染色性の急速な消失のために、2から3日で終了せざるをえないので、多くの場合に数日から10日、又は2週間を経た後に、心臓の拍動停止により蘇生装置から解放されて、組織の摘出が行われるヒトの脳所見と照合することができない。 3)以上のことから、動物と対比する事によるヒトの経時的変化の検索は、必ずしも有効的とは言えない。
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