研究課題/領域番号 |
03670309
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
田中 宣幸 産業医科大学, 医学部, 教授 (60126597)
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研究分担者 |
北 敏郎 産業医科大学, 医学部, 助手 (00131912)
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キーワード | Endotoxin Shock / Tumor Necrosis Factor / Leukotriene / Liver / Kidney / Immunocytochemical Localization / Lipopolysaccharide |
研究概要 |
本年度は、エンドトキシンショックにおける血管の動態を、まず肝臓について形態学的に検討した。その結果、光顕で出血性壊死像が、走査電顕あるいは透過電顕によりジ-ヌソイドにおける血栓像などを、エンドトキシンショック時の特徴的と言われる毛細血管障害像が観察された。すなわち、エンドトキシン投与後数時間内に、炎症反応で特徴的な多数の白血球の血管壁への粘着、さらに血管内皮細胞内への侵入が認められた。それと同時に、肝動脈においては血管内皮細胞接合部の離開、肝ジ-ヌソイド内毛細血管の水腫および浮腫などの血管透過性亢進像が観察された。血管障害の発生機序を検討する目的で、エンドトキシンの刺激により産生放出され炎症反応で中心的な役割を果たすとされている腫瘍壊死因子(TNF)、および強力な血管透過性亢進および血管収縮作用をもちかつTNFの刺激により産生放出されるロイコトリエン(LT)の局在を免疫電顕法で観察した。TNFはクッパ-細胞および血管内皮細胞のライソゾ-ムにおいて産生放出され、放出されたTNFは血管内皮細胞表面のレセプタ-に付着し白血球粘着に大きな役割を果たす事が示唆された。また、血管壁に粘着あるいは血管内皮細胞に侵入した白血球から、TNFの刺激により産生されたLTによる血管障害およびTNFの直接作用による細胞凝固壊死の可能性も明らかにされた。現在、腎臓について同様の検討をおこなっているが、血管および血管周囲の透過性亢進像および糸球体のフィブリンによる微小血栓形成、さらに近位尿細管の上皮の空細形成を伴う浮腫状変化が認められた。TNF局在は血管内皮細胞表面および内皮細胞のライソゾ-ムに認められた。LTは白血球特殊顆粒内および浮腫状変化が認めらた近位尿細管のライソゾ-ム内にも局在していた。したがって、近位尿細管の浮腫に、LTが深くかかわっている可能性が考えられた。
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