研究課題/領域番号 |
03670323
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
曽根 三郎 徳島大学, 医学部, 助教授 (40145024)
|
研究分担者 |
葉久 貴司 徳島大学, 医学部, 助手
仁井 昌彦 徳島大学, 医学部, 講師 (10189227)
|
キーワード | 膜結合型TNF-α / 肺胞マクロファージ / 細胞障害 / 肺癌 / サイトカイン |
研究概要 |
単球-マクロファージ系細胞は貪食、殺菌、抗原提示など多様な生物活性を持つ。さらに種々の活性化刺激に反応して腫瘍壊死因子、インターロイキン-1、活性化酸素など可溶性因子を産生すると共に、細胞膜表面に膜関連因子を発現することにより種々の病態形成に関与している。また腫瘍細胞に対する細胞障害活性を示すことにより抗癌治療への応用が考えられる。本研究では、膜結合型腫瘍壊死因子(membrane-form TNF:m-TNF)を対象に検討を行った。 健常人より気管支肺胞洗浄により採取した肺胞マクロファージ(AM)は、細菌内毒素(LPS)に反応して強いm-TNF活性を発現したが、エルトリエーション法にて採取した末梢血単球は僅かな活性しか示さなかった。しかし単球を分化因子であるGM-CSFにて培養し誘導された単球由来マクロファージは、細菌内毒素(LPS)に反応して強いm-TNF活性を発現し、分化成熟との関連が示唆された。Western blottingを用いた検討では、26kDaにバンドが認められ、AM上のm-TNFはTNF-α前駆体によるものと考えられた。発現調節に関する検討では、インターロイキン-4がTNF-αのmRNA発現を抑制すると共に、m-TNFの発現も抑制することを明らかにした。 m-TNFの多様な生物活性の一例として、肺癌細胞株RERF-LC-OKの自律的なインターロイキン-6産生に対し、単球由来マクロファージ上に発現されるm-TNFが増強的に作用することを明らかにした。 さらに今後、肺癌および各種肺疾患患者について、病態成立におけるm-TNFの関与の解明と、それを利用した治療法の確立を目標に検討を加えていきたい。
|