研究概要 |
1.脂質結合蛋白として最初に記載されたヒトのプロリンリッチプロテインの遺伝子学的研究を行ない,補体第4成分結合蛋白(C4BP)と同一のことを確認したので,その遺伝子の発現調節および体細胞遺伝子の構造について研究を進め以下の結果を得ている。 2.C4BPは巨大なα鎖と比較的小さいβ鎖から成り立っているが、まずα鎖の解析を行なった。ヒトの各臓器でのC4BPmRNAの発現状態をノ-ザン法で検索した。おもなC4BPmRNA発現臓器は肝臓であった。そこで,種々ののモジュレ-タ-の肝臓細胞でのC4BPmRNAの発現状態におよぼす作用を検索した。TPAはもちろんILー6やTNFは発現を増強させたがCaイオノファ-やILー1βは影響を与えなかった。 3.C4BPαのmRNAは2.5kbであるが,そのcDNAをプロ-ブとして体細胞遺伝子構成を解明した。これは40kbの広い範囲に分布し,12個のエクソンから成り立っていた。C4BPα鎖の蛋白構造は8個のドメイン構造をとっており,各エクソンは原則的に一つのドメインに対応していたが,第二ドメインは2つのエキソンから成り立っていた。この第二に対応するエクソンとイントロンとの特徴的なスプライシング関係はDAFやRlなどの補体調節蛋白の遺伝子でも認められており,分子進化の可能性が示唆された。また,遺伝子の5'上流には急性期反応性蛋白に共通して認められる転写因子の結合配列が確認された。 4.C4BPに対するモノクロ-ナル抗体を作製し,正確な測定法を開発している。予備的成績では慢性関節リウマチなどの内科疾患で上昇傾向を認めている。
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