平成3年度において、慢性関節リウマチ滑膜細胞におけるvery lateantigenの分布を検討し、RA滑膜A細胞、リンパ球は、フィブロネクチンレセプターであるVLA3、VLA4、VLA5を発現していることがわかった。そこで、平成4年度において、フィブロネクチン、そのフラグメントの1)RA滑膜細胞増殖に及ぼす影響、2)RA滑膜細胞の形態変化に及ぼす影響3)RA滑膜細胞膜抗原のチロシンリン酸化に及ぼす影響について検討した。その結果1)について、[H^3]thymidineの取り込みを7日間にわたって測定した。この系での主な構成細胞はマクロファージ系の細胞であるが、この細胞の増殖への影響はみられなかった。今後、サイトカイン発現等の活性化を指標に、影響を検討する予定である。2)について、フィブロネクチンをcoatしたplateにてRA滑膜細胞を培養すると、樹状細胞様細胞の増加が目立った。しかし、actin filamentに特異的に結合するFITC phalloidinにて、染色をおこなうと、これらの細胞は染色性に乏しく果たして、フィブロネクチンレセプター、actin polymerizationの一連の反応がこれらの細胞でおこっているか疑わしい。これらの細胞が樹状細胞なのか、他系細胞の形態変化によるものか、今後、検討する予定である。3)について、フィブロネクチンをcoatしたplateにRA滑膜細胞を加え、経時的に、膜チロシンリン酸化を検討したが、一定の成績は得られなかった。今後、症例を重ねて検討する予定である。
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