一昨年以来、我々はベーチェット病(B病)患者N.T例の末梢血から新型Streptococcus sanquisの菌体抗原である、KTH-1抗原に特異的なγδ-TCR^+T(γδ)細胞クローンおよびラインを樹立してきた。今回、同じB病患者N.T例の末梢血から、KTH-1抗原特異的に反応するCD4^+・αβ-TCR^+T細胞ラインと、CD16^+・TCR-NK細胞ラインを樹立できたので、かかるγδ細胞ラインと比較検討した。その結 、KTH-1抗原でパルスした自己EBV変異性B細胞株を細胞障害できたのは、γδクローン化細胞のみであったし、抗原刺激後CD4^+ラインに比べ、明らかにγδ細胞のみが著明にTNFαを産生し、および、好中球の活性酸素産生能を亢進させたのも、刺激後γδクローンの培養上清のみであった。 以上より、B病の病因・病態に、TNFαを介してγδ細胞が中心的役割を果たしている可能性を示唆することができた。 また、かかるNTのcell line3種を使って、抗原パルス後のNET細胞との接着能をACASで染色してみたところ、γδ^+lineが明らかに強くNET細胞と接着していることがわかった。そこで、3つのcell lineをFACS IVによって、各種接着分子の陽性率と蛍光強度を比較検討してみると、数ある分子の中で、CD44のみが、γδ cell line(NT-1)で有意に蛍光強度が増加していることが明らかとなった。 さらに、抗CD44抗体によって、KTH-1抗原特異的細胞増殖がいかなる影響をうけるかみたところ、非常に低濃度(10ng/ml)の抗CD44抗体で、NT-1γδラインの有意な増殖亢進を認めた。これより、APCを介した抗原特異的γδ細胞の増殖に、CD44分子を介した細胞接着が重要な働きをしている可能性を示唆し、γδ細胞の活性化・増殖反応における、CD44分子の役割を検討する必要があると考えられた。
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