研究概要 |
(1)血管炎合併SLE患者の末梢血リンパ球表面分子に対するモノクロナ-ル抗体の作製:血管炎を合併するSLE症例では未梢血リンパ球表面に病像形成に関与する重要な機能分子が存在するであろうとする作業仮説に従って、これを認識するモノクロナ-ル抗体を作製した。この中で、正常人リンパ球に比して患者リンパ球で最も発現が増加していた分子を認識するモノクロナ-ル抗体SMー27について詳細に検討したところ、同抗体は非遷元下で110/140KDのヘテロダイマ-を認識し、VLAー4分子である事が確認された。(2)血管炎合併SLE症例におけるSMー27(VLAー4)分子の発現:血管炎を有するSLEでVLAー4分子の発現状況を解析すると、血管炎を有する症例6例中5例でVLAー4分子数が増加していた。一方、血管炎を持たないSLEでPSS,PM/DMなどの膠原病症例について検討すると、いずれも血管炎を有する症例でVLAー4分子の発現が増加していた事から、VLAー4分子の発現増加と血管炎に何らかの関連がある可能性が示唆された。(3)血管炎合併SLE症例における血管内皮接着分子の発現:リンパ球ー血管内皮の接着に関与する事が明らかにされている4つの分子,VLAー4,LFAー1,CD44,LECAMー1について,同時に検討した。正常人6名,血管炎を有するSLE5例,血管炎の無いSLE5例を対象として検討したところ、i)VLAー4分子数の発現増加,ii)LFAー1の鎖分子数の発現増加,iii)CD44分子数の発現増加が血管炎群が認められた。各々の症例ではしかしながら、VLAー4分子が優位に増加しているもの、LFAー1の鎖が増加しているものの2群に分かれたが,その臨床特徴、病理学的所見に共通したものを見い出すには致らなかった。
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