好中球の遊走能の機構を解明するために、KO^^¨hler & Milstein法に準じて、ヒト好中球の遊走能を特異的に抑制するモノクロ-ナル抗体TM316を作製した。この抗体が認識する抗原分子は約150kの膜蛋白であった。この分子を規定する核酸配列を明らかにするために、前述のモノクロ-ナル抗体を用いて、ヒト白血球由来のcNDAライブラリ-よりスクリ-ニングを行った。その結果、約400塩基対からなるcDNA断片のクロ-ニングに成功した。このcDNAクロ-ンから大腸菌蛋白発現ベクタ-pEX2ヘサブクロ-ニングし、部分的タンパク質を作製し、これをウサギに免疫して抗血清を得ることを試みた。現在のところ低力価ながらも、モノクロ-ナル抗体TM316が認識する好中球膜タンパク質と相同の分子量の分子と反応するポクロ-ナル抗体が得られた。より力価の高い抗血清を得、ヒト好中球の遊走活性を抑制することを確かめるために、cDNA断片より得られる部分的タンパク質を更にウサギに免疫中である。 また。TM316が認識する膜タンパク質はヒト好中球に特異的に発現していることから、上述の実験と平行してヒト末梢血より好中球を分離し、ヒト好中球由来のcDNAライブラリ-を作製した。スクリ-ニングにはTM316およびヒト好中球膜表面上のTM316対応抗原を免疫して得たポリクロ-ナル抗体をプロ-ブとして用いた。その結果、数個の陽性クロ-ンを得た。これらのクロ-ンについては現在検討中である。
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