健康成人男子志願者でニュ-キノロン薬と制酸剤の同時服用時の血中濃度、尿中排泄をクロスオ-バ-法(n=5)で経時的に調べ、各種金属イオン製剤の影響を検討した。OFLX、ENX、NFLX(200mg)とAI(OH)_3製剤との同時服用の結果、3製剤とも消化管からの吸収が阻害され、明らかな血中濃度の低下がみられ、尿中排泄量も有意に減少した。次に、TFLX、CPFXおよびLFLXとAI(OH)_3を同時に内服させ検討した。これによりキノロン薬とアルミウムを含む制酸剤との併用によりキノロンの吸収、排泄に大いに影響のあることが明らかになり、その影響度は薬剤により異る態度をとることが確認された。すなわち、OFLX、LFLXでは比較的少なく(AUC>50%)、TFLX、CPFX、NFLXでは排常に大きく(AUC<30%、Cmax<0.1μg/ml)、その中間(AUO<30%、Cmax>0.2μg/ml)にENXが位置している。以上のように、制酸剤ではAl^<3+>、キノロン薬ではNFLX、ENX、CPFXの吸収、排泄への影響が大きいことが明らかにしえた。しかしながら、OFLXとcetraxate hydrochlolide(ノイエル^<【O!】>)、LFLXとbenexate hydrochlolide βーcyclodextrin(ウルグ-ト^<【!】>)を同時併用した時の影響は、いずれの非イオン系制酸剤もキノロン薬の吸収性にはほとんど影響を与えなかった。OFLXSー(一)体の吸収、排泄に及ぼす各種の金属イオンの影響を健康成人男子で検討した(n=6)。その結果、AUC、尿中回収率に及ぼす影響はAl^<3+>>Fe^<2+>≒Mg^<2+>>Ca^<2+>の順であり、OFLXSー(一)体とのキレ-ト生成能によく一致した。胃内pHの変化によるよりも金属イオンとキノロン薬とのキレ-ト生成による影響と考えられる。 今後、影響を及ぼさない使用方法を知る目的でニュ-キノロン剤と制酸剤の時間差投与について検討したい。
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