研究概要 |
慢性関節リウマチ滑膜組織中に,これまでEpsteinーBarr ウイルスの証明は,他の研究機関において,従来法を用いた場合不成功に終わっていた。今年度,我々は,微量なDNAの検出が可能なPolymerase chain reaction法(PCR)を用いて,PA滑膜組織中のEBウイルスの検出を試み,そのmRNAの発現をreverse transcriptase(RT)を用いた RTーPCR法にて検討した。 RA滑膜組織中にPCR法を用い、Bam HIのK領域を増幅するプライマ-にてEBウイルスのDNAを増幅し,1%アガロ-スで電気泳動後,サザングロット法で検討した。その結果,慢性関節リウマチ,変形性関節炎滑膜組織において,EBウイルスDNAの存在を証明した。その出現頻度,ウイルスDNAコピ-数は,両者で差を認めず,末梢血単核球中にもEBウイルスDNAは,両疾患,正常者で増幅されたが、疾患特異性は認めなかった。同時にEBウイルス関連抗原にする抗体価を測定したところ,正常に比しリウマチは,従来の報告どおり高値を示した。この事から,EBウイルス蛋白発現の相違が存在する可能性を考え,RTーPCR法にてmRNAの発現の相違を検討した。リウマチのリンパ節腫脹を伴う群と伴わない群に分け,特殊型の成人still病,ムチランスタイプのものの末梢単核球中のmRNAの発現を測定した。RNAを検体より抽出し,RTにてcDNAを作製して,BamHI,U,Kエクソンの部を増幅するプライマ-を設定し,PCR法を行なった。慢性関節リウマチ,変形性関節尖滑膜,上記の末梢単核球にmRNAの発現は今回認めなかった。慢性関節リウマチより樹立した単クロ-ンB細胞株を陽性コントロ-ルとして使用した。今回の測定系は,感受性の面で充分な検討をしておらず,今後,mRNAの発現が,EBウイルスが潜在しているのに全くないのが検討したい。
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