研究概要 |
昨年度まで本研究班において、慢性関節リウマチ(RA)滑膜中にEBV-DNAがPCR法で検出されるが、RT-PCR法ではこれまでのところmRNAの発現は認められなかったこと、EBNA2によりtransctivateされるCD23の可溶性因子(sCD23)は血清中で正常に比し有意に高値を示すが、EBV比DNAコピー数とは相関がなさそうなこと、sCD23,sCD24,sCD8全ての高値を示す群に関節破壊の進行が急で比較的活動性の高い群が認められることなどを報告してきた。今年度は、PCR法でEBVが検出された滑膜組織のパラフィン切片を用いてin situ hybridization法を用いて、EBVの潜在化する細胞の特定を試みた。 材料と方法;滑膜検体;人工関節置換術施工時に提出されたパラフィン包埋ブロックよりスライドガラス上に4-5micronの厚さで組織を固定し使用した。今回使用した症例はPCR法でEBV-DNAの存在を証明されているRA4例と変形性関節症(OA)1例で検討した。in situ hybridization;in situ hybridizationは、ENZO Diagnostics,Inc.(Syosset NY)のkitを使用した。Probeは、ビチオン標識されたBam-HI-V(internal repeat 1)を検出するものを使い、方法はkitてんぷのマニュアルに従った。すなわち、プレパラートのパラフィンを除去するためキシレンとアルコールで洗浄し、37°Cで5-10分で乾燥させ0.1mg/mlのproteinase Kで処理する。次に内因性のペルオキシダーゼを阻害するため3%のhydrogen peroxide/PBSを0.5ml加え37°C、10分放置し洗浄液で洗う。アルコールで脱水し37°Cで乾燥する。1滴のてんぷされているprobeを加えカバーグラスをのせて95〓D〓DEC、5分、その後室温20分で放置する。カバーグラスをとりformamide溶液を加え室温で10分放置後洗浄し、アビジン標識されたperoxidaseを加え室温で20分放置後洗浄し、2%3-Amino-9-ethylcarbazoleとhydrogen peroxide/acetatebufferを加え10分室温に放置する。洗浄し鏡顕にて検討をする。 結果;今回検討した4例のRAと1例のOAに於ては、このprodeでは明らかなEBV-DNAの検出は認めなかった。それぞれ1例のRA,OAで時期と場所が違った検体も検討したが同様に検出することができなかった。 考察;今回の検討ではEBVの滑膜中での存在部位が特定することができなかったが、症例数も少なくprobeも1種類しか使用していないため、今後症例数を増やし、他のprobeを使用した検討が必要と考える。
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