研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)滑膜中にEBV-DNAがEBNA-1のprimerを使用することにより、PCR法で検出されるが、RT-PCR法ではこれまでのところmRNAの発現は認められなかったこと。EBNA2によりtransactivateされるCD23の可溶性因子(sCD23)は血清中で正常に比し有意に高値を示すが、EBV-DNAコピー数とは相関がなさそうなこと、sCD23,sCD4,sCD8全ての高値を示す群に関節破壊の進行が急で比較的活動性の高い群が認められること。PCR法でEBVが検出された滑膜組織のパラフィン切片を用いてin situ hybridization法を用いて、EBVの潜在化する細胞の特定を試みたところ、今回検討した4例のRAと1例のOAに於ては、1例のstage IIIを示すRA滑膜の紡錘状の形態を示すと思われる細胞に弱陽性を示すが、このprobeでは明らかなEBV-DNAの検出は認めず、それぞれ1例のRA,OAで時期と場所が違った検体も検討したが同様に検出することができなかったことなどがこの研究にて得られた知見である。 今回の検討ではEBVの滑膜中での存在部位が特定することができなかったが、このウイルスがRA滑膜に存在し得ることを証明したのはこの研究が初めてであり、今後症例数を増やし、検討をさらに進めることによりRAとEBVとの関連が明らかになっていくものと考えられる。
|