研究概要 |
平成3年度,平成4年度に引き続き,平成5年度はratのTNBS colitisモデルを用いて,この疾患モデルにおける薬物の治療効果について検討を行った。薬物および投与法は,5ASAの経口および注腸投与,抗leukotriene剤2種の経口投与を用いた。 実験法; TNBS colitis作成後3日目に内視鏡を行い,病変が作成されていることが確認された動物を薬物投与群および対照群に群別し,作成後3日目から21日目まで薬物を連日投与した。作成後7日目,14日目,21日目に内視鏡を行い,治癒経過をEndoscopic scoring criteriaを用いて評価し比較した。 結果; 1)5ASA100mg/kgの経口投与および注腸投与では,投与群で治癒が促進される傾向にあったが統計学的な有意差はなかった。 2)抗leukotriene剤のAS-35 300mg/kg(東京田辺製薬)の経口投与では,有意にスコア値の低値を認め治癒が促進されたと考えられた。この効果にはdose-responseが認められた。 3)抗leukotriene剤のTBX(東京田辺製薬)の経口投与では,投与群で治癒が促進される傾向にあった。dose-responseや統計学的処理については現在検討中である。 また,このモデルの成因の解析から,発症した動物における抗TNBS抗体の産生が確認されているが,AS-35 300mg,150mg/kgの投与で血中抗体価が減少することが明らかとなった。従ってこの薬物の作用機序の詳細は現在不明であるが,免疫系への影響があることが示唆された。
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