心窩部腹壁表面に銀塩化銀電極を装着し、双極誘導にて消化管由来と考えられる電気活動の記録が可能となった。電気信号は筋電図ユニットおよび筋電図ユニットで電気信号にフィルタ-かけることにより希望の電気的変化を記録することができるが、胃由来の電気活動記録には時定数3秒、Highーcut Filter 0.1Hzの条件下で記録するのが最も適切である事が判明した。さらに、この電気信号が実際に胃由来のものであるか否かの検討にあたり白金電極を装着した内圧カテ-テルを作成し、胃粘膜面から導出した電気信号記録との比較を行い両者の波形の一致をみた。したがって、この方法で記録される生体電気活動記録は胃に由来する電気活動であることが推測された。さらに、胃内圧記録と電気活動記録の比較においても、両者は同じ周期で変化をしめしていることが確認された。すなわち、健常者では1分間に3回の規則的繁華が電気活動の面および内圧変化の面から観察することができ、腹壁表面からの電気活動記録が胃の運動機能を反映していると考えることができる。波形の解析にあたってはFFT変換による解析を目指して検討を行ってきたが、FFT変換による解析では個体間の比較が困難であるため周波数解析を行うこととし、解析装置を開発した。現在、解析プログラムの一部に不備が発見されたためプログラムをなお開発中である。食事の影響に関しては、食後30分程度までの観察では波形の増強、すなわち電位の増大が認められ、食事刺激による胃運動の亢進を反映しているものと推測された。以上の事柄から、腹壁表面からの生体内電気活動記録は胃運動をよく反映することが推測され、胃運動機能障害患者での以上も確認され、今後はその発生機序についても検討を行う予定である。
|