潰瘍性大腸炎とクロ-ン病は炎症性腸症患(IBD)と総称され、いずれも未だ原因不明の慢性難治性疾患である。病変の発生、増悪、持続に、腸管局所におけるサイトカインカスケ-ドの異常の関与が想定されている。本研究ではPCR法を用いて各種サイトカインのmRNAレベルでの発現を検討し解析することにより、本症の免疫異常の一部を解明することを目的とした。 IBD患者より、手術時および内視鏡生検時に、病変部(活動期、緩解期粘膜)および正常粘膜を、さらに大腸癌・ポリ-プ患者より、非病変部の正常粘膜を採取し、グアニジウム/セシウム法でmRNAを分離・抽出した。RNAはOD_<260>/OD_<280>=1.6ー1.8で良好な回収を得た。RNAのアガロ-スゲル電気泳動上も、コントロ-ルラット肝リボゾ-ムRNAと同様に28Sと18Sリボゾ-ムRNAに泳動された。粘膜の性状を確認するために、小腸粘膜に発現を示す脂肪酸活性化酵素cDNAプロ-ベ Aspー1を用いノ-ザンブロッティングを行なったところ、健常者小腸およびクロ-ン病小腸RNAサンプルに強い発現を認めた。大腸粘膜にもやや弱い発現を認めたが、コントロ-ル肝RNAには発現を認めなかった。これより、個々の粘膜特有のRNAサンプルを確認した。 ヒトTNFα・DNA、γーIFN・DNAライブラリ-より、アンチセンスプライマ-をそれぞれ作成した(25mer)。また、γーIFN・cDNA(850bp)を得、ノ-ザンブロッティングを用い、病変粘膜での発現を検討中である。
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