研究概要 |
我々は肝類洞壁細胞が相互に作用しあって肝疾患の病態生理に関与していることを明らかにしてきた。今回,肝障害の成立時における肝内皮細胞と滲潤多核白血球の接着,活性化機構を解析した。肝内皮細胞は分離培養し,特徴的なporeとsieve plateを有しaetyl LDLの取り込みを認め90%pureの細胞であった。ガラクトサミンーlipopolysaccharideの投与による肝障害モデルに於て,血清中に肝内皮と多核白血球の接着を促進するメディエ-タ-があり,一部はtumor necrosis factorであった。この接着は肝内皮のadhesion moleuleをふやすことと,多核白血球のli gendに作用するメディエ-タ-であった。更に、このメディエ-タ-は多核白血球の活性化を促すことが明らかとなった。現在,この接着の防御機構を解析しており,肝障害劇症化の防御と結びつけて実験を行っている。次いで,アルコ-ル肝障害・ガラクトサミン肝障害の滲潤細胞のメカニズムを別の観点から明らかにするため,肝細胞・肝類洞細胞より産生される走化性物質の検討を行い,少なくとも2種類の走化能を有する高分子蛋白質(MW25万と50万ダルトン)を見出した。第3に,滲潤細胞と肝内皮細胞障害の検討を行い,elastaseなどが肝内皮障害に関与することを見出した。さらに,Biological Response Modufierを投与し,マウス肝内のPit細胞の著しい増加と,大腸癌肝転移を阻止することを見出した。特に大腸癌の肝転移の阻止は肝内asialo GM_1陽性細胞に於て,顕著であった。現在はこの肝内Pit細胞のheteogeneityと抗腫瘍活性との関連,新たなBiological Response Moditierの効果を,Drug Deliveryの観点から検討を進めている。
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