研究概要 |
1)肝硬変より肝細胞癌(HCC)への移行に関する臨床的検討 HCV抗体第2世代陽性の106例の肝硬変(LC)が6年間に37.5%の頻度でHCCへと移行した。HCVとHBVの両者陽性のLC症例の43%,非ウィルス性LCの23%がHCCへ移行した。そしてHBs抗原とHVD抗体の両者陽性のHCCが20%の高頻度に検出された。 2)HCCの多段階発癌に関する検討 組織学的に診断を確定し得た早期HCC3例と進行HCC26例及び同一患者の非癌部より全DNAを抽出してPCR-SSCR法によってP53遺伝子のエキソン4,5-6,7,8-9に存在する変異を検出した。同一材料を用いて下記のgenetc8種のfragmentをProbeとしてRFLP法によりヘテロ接合体の消失(LCH)の有無を検討した.26例の進行癌DNAに対する下記のPrcbeの陽性率はそれぞれのProbeにつきLOH陽率を示すとEFD(4g11)12%,cMc5.61(5g)42%,EFD75.1(10g)21%,dCI11-273(11p)41%,p79-2-23(16g)32%,yNZ22(17p)50%,MCT35.1(17p)34%,CBHP(17p)41%であった。P53の変異は26例中7例(26.9%)に検出され,変異の部位はエキソン5-6,7に集中した。一方3例の早期HCCではRFLP法による各probeによる検出率は進行HCCに比較して低率であり,P53遺伝子の異常は認められなかった。 他方肝内転移を有する進行HCC2例の5個の肝内娘結節にP53遺伝子の変異を認めた。早期HCCでCMC5.6Lが3例中1例に陽性となった。 早期HCCは進行HCCに比較してRFLP法によるヘテロ接合体の消失率が少なく,且つP53遺伝子の変異が認められないことは肝細胞癌の多段階発癌と進展を示唆している。 現在病例を重ね検討している。HCV RNAの組織中の存在を組関化学的に様出したが,この点も検討中である。
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