1.8D7モノクローナル抗体(MoAb)の対応抗原の解析 8D7MoAbとアシアロ糖蛋白レセプター(ASGPR)の反応について、ヒト肝臓から精製したASGPRを用いたELISA法により検討した。8D7抗体はヒトASGPRと特異的に反応し、8D7MoAb認識抗原は、肝細胞膜特異抗原と考えられるASGPRであることが明らかとなった。次に、肝細胞癌においてヒトASGPRの局在が肝細胞表面でどのように変化するかを、8D7MoAbを用いて免疫組織化学的に検討したところ、癌細胞の分化度と増殖能に密接に関連した肝癌細胞におけるASGPRの発現の変化が観察された。 2.8D7抗ASGPRMoAbに対する抗イデオタイプ抗体の作成 8D7抗体にてマウスを免疫し、8D7抗体に特異的に反応するハイブリド-マクローン3C8を得た。3C8MoAbのアイソタイプは、IgM、κであった。免疫組識染色、ELISA法などによる結合阻止実験で3C8MoAbは、8D7MoAbの肝細胞模への結合を阻害した。さらに、3C8MoAbに対する抗イデオタイプMoAbを作成したところ、3C8MoAbにより肝細胞膜粗分画に反応する抗体を産生するクローンが誘導された。以上から、3C8MoAbは8D7抗ASGPRMoAbのイデオタイプの中でパラトープを認識する抗イデオタイプ抗体であり、抗原であるASGPRに対するインターナルイメージを有するMoAbが作成された可能性が高いものと考えられる。 3.3C8MoAbによる実験的肝障害の誘導 新生児BALB/Cマウスの胸腺を生後3日後に摘出した胸腺摘出マウスを、3C8MoAbにてアジュバントとともに免疫し、肝障害が誘導可能かどうか検討中である。
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