老化C57BL/6マウスでは、1)雌性マウスに、2)慢性非化膿性破壊性胆管等(CNSDC)病変と門脈域への高度円形細胞浸潤、3)肝外病変として唾液腺炎、膵炎、4)抗ミトコンドリア抗体陽性を認めた。5)老化マウスの脾細胞の移入実験により胆管病変を若齢マウスに移入可能であった。さらに、浸潤リンパ球を酵素抗体直接法で染色すると、CD4、CD8とともに染色された。CD4陽性リンパ球が平均81±9.7%(n=5)であり、CD陽性リンパ球が平均19±9.7%であり、その割合においてCD4陽性リンパ球数の増加がみられた。門脈域では浸潤T細胞は主にhelperーinducer T細胞で、helperーinducer/cytotoxicーsuppressorT細胞の比は4.0となるが、胆管上皮細胞障害部に限定するとcytotoxicーsuppressor分画が優位で、その比は1.0以下となった。(n=5)またCD8陽性リンパ球が胆管上皮細胞とbroad contactする所見が、透過型電子顕微鏡にて得られた。CD8陽性細胞は、しばしば基底膜に侵入し、胆管上皮細胞間の拡張した細胞間隙の間にあった。さらにしばしば胆管上皮細胞とbroad contactを形成し、時にCD8陽性細胞の表面から偽足が胆管上皮細胞の中に突き出していた。胆管上皮細胞の変化としては、核縁や細胞輪郭の不整化、小胞体やミトコンドリアの増加、微絨毛の現少などが観察された。すなわち、胆管上皮細胞障害の担当細胞はヒト原発性胆汁性肝硬変と同じくCD8陽性リンパ球であることが光湿、電顕で確認された。今後、胆管上皮細胞の障害機構について、in vitroでの解析を進めている。
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