研究概要 |
モルモット胃主細胞のペプシノ-ゲン(PG)分泌機構により精密な研究に必要な以下の系を新たに確立した。 1.モルモットPGに対するenzyme immunoassay(EIA)系:モルモット胃粘膜をホモジュネ-トし遠心した後,上清をDEAEーSephacel,Sephacryl Sー200さらに,HPLCを用いてPGを精製した。家兎に免疫し抗PG抗血清を得た後,γグロブリン分画をペプシンで消化して(Fab')_2を得,一部は固相用とし,残りは還元してFab'とした後,OPDMを架橋剤としてβガラクトシダ-ゼ標識抗体を作成した。抗体固相化ビ-ズを作成し,検体とともに30℃,4時間インキュベ-トした。次にビ-ズに標識抗体に加え,4℃,16時間静置した。ビ-ズを洗浄後,付着したβガラクトシダ-ゼ活性を測定しPGを定量した。系の測定感度は1.5ng/tubeと良好で,培養液検体の希釈曲線と標準曲線の平行性から,検体中の微量なPG定量が可能であることを確認した。 2.主細胞のモノレイヤ-カルチャ-系:モルモット胃粘膜小片に切刻み,コラゲナ-ゼおよびGEDTAを用いて細胞浮遊液を作製後,Percll溶液に加え遠心して主細胞に富む分画を得た。得た分画を10%FCSを含むDMEMとFー12の混合培地に浮遊させ,コラ-ゲンIコ-トプレ-トで70時間培養した。抗PG抗体による免疫蛍光色法ではこの系の主細胞の占める割合は,99.5%であった。培養液へのPGの分泌は上述のEIA系で定量し,細胞50万個当りの量で検討した。カルバコ-ルでは,10^<-5>Mで有意に,10^<-3>Mで基礎分泌の7倍の分泌増加が,CCKー8刺激では,10^<-7>Mで基礎分泌の10倍の増加がみられた。TPA刺激では,10^<-9>Mで有意に,10^<-8>M刺激では基礎分泌の25倍の増加が,フォルスコリン刺激では,10^<-5>M濃度で有意に,10^<-4>M刺激で基礎分泌の15倍の増加がみられ,PG分泌機構の研究に極めて有用な系であることを確認した。
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