研究概要 |
Pepsinogen(Pg)分泌機序解明目的でモルモット胃主細胞monolayer culture系とモルモットPgEIA系を確立した。胃粘膜をcollagenaseとGEDTAで細胞分離後、Percoll溶液中で遠心して主細胞を単離し、DMEMとF-12の混合培地で70時間培養しculture系を得た。また、胃粘膜ホモジュネート液よりDEAE-SephacelとSephacryl S-200を用いてPgを精製し、家兎に免疫し抗Pg抗体を得、(Fab′)2とβ-galactosidase結合Fab′を調整しサンドイッチ型EIA系を確立した(日消誌90(2)105-133,1993)。この両系を用いて各種薬剤によるPg分泌と、細胞内Ca^<2+>濃度変化を検討した。そして1)myosin light-chain kinase(MLCK)のinhibitorであるML-9およびprotein kinase C(PKC)のinhibitorであるH-7が、Ca^<2+>messenger系を介して作用するcarbacholおよびCCK-8によって惹起されるPg分泌を有意に抑制すること(Gastroenterology102:A140,1992)、2)ML-9は、細胞内Ca^<2+>流入を促進させるionomycin刺激によるPg分泌も有意に抑制するが、直接PKCを刺激するTPAあるいはcAMPmessenger系を介して作用するforskolin刺激によるPg分泌は抑制すること、3)H-7は、TPAによるPg分泌も有意に抑制するが、ionomycinあるいはforskolinによるPg分泌は抑制しないこと、4)carbacholおよびionomycinによって惹起される細胞内Ca^<2+>の上昇をML-9あるいはH-7は抑制しないこと(日消誌89:1747,1992)などの結果を得た。このことより胃主細胞では、MLCKおよびPKCがPg分泌に重要な役割を果たしており、MLCKは細胞内Ca^<2+>の上昇以降にPKCおよびcAMP系と独立して作用し、またPKCは細胞内Ca^<2+>およびcAMP系に独立して作用することが判明した。
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