研究概要 |
まず免疫グロブリン産生に及ぼすUDCAの影響について検討した。健常成人およびPBC患者の未梢血よりFicollーConray比重遠心法にて単核細胞を分離し、B cell mitogenであるStaphylococcus aureus Cowen I(SAC)の存在下で、種々の濃度のUDCA(final 0.01 0.1mM)とともに培養し、ポリクロナ-ルな免疫グロブリン産生をProtein Aプラ-ク法およびELISA法にて測定した。UDCAは未梢単核球の免疫グロブリン産生を、その免疫グロブリンのクラスに関係なく抑制した。また、UDCAはヒトBリンパ細胞腫RPMI1788(IgM分泌)株、SB(IgG分泌)株、DAKIKI(IgA分泌)株の免疫グロブリン産生も濃度依存性に抑制した。このことからUDCAの免疫グロブリン産生機序のひとつとして、UDCAが直接B細胞に働いている可能性が示唆された。 次に、UDCAの未梢単核球の各種サイトカイン(ILー1,ILー2,ILー4,ILー6,IFNγ)の産生に及ぼす影響について検討した。ILー1、ILー6の測定にはlipopolysaccharide(LPS)を、ILー2、ILー4にはconcanavaline A(Con A)を、IFNγにはPoly IーCを刺激物質として用いて単核球を培養し、その培養上清をELISA法にて測定した。ILー1およびILー6の産生はUDCAにより有意な影響をうけなかったが、ILー2、ILー4およびIFNγなど活性化されたヘルパ-T細胞より分泌されるサイトカインの産生はUDCAにより抑制された。また、UDCAはILー1の産生に影響しなかったが、C3H/HeJマウス胸腺細胞のILー1に対する増殖反応を抑制した。このようにUDCAはT細胞にも作用し、広く免疫系に作用している可能性が示唆された。
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