研究課題/領域番号 |
03670381
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
山内 眞義 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20138811)
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研究分担者 |
水原 裕治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手
大畑 充 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50231204)
平川 淳一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00231548)
中島 尚登 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90207788)
戸田 剛太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40090500)
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キーワード | 肝線維化 / Integrin / 血小板 / 細胞接着因子 / ICAM‐1 / VCAM‐1 |
研究概要 |
【.encircled1.】beta_1およびbeta_3 Integrinは、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなどの細胞外基質のリセプターであり、慢性肝疾患の重症度と相関して血中に増加することをすでに昨年報告した。血小板膜上にも血小板膜蛋白(GP)のうち、粘着に関与するGPIa/IIa(alpha_2beta_1)、GPIc/IIa(alpha_5beta_1)、GPIc*/IIa(alpha_6beta_1)および凝集に関与するGPIIb/IIIa(alpha_<IIb>/beta3)があり、肝臓と同じIntegrinのbetaサブユニットを有している。本年度は慢性肝疾患の血小板におけるIntegrin beta_1とbeta_3の濃度の変動を検討した。血小板のIntegrinbeta_1およびbeta_3(ug/mg.protein)はそれぞれ,健常者0.467±0.060,11.408±1.487、慢性肝炎1.089±0.153,34.508±3.685、肝硬変2.127±0.168,176.190±3.237であり、血小板におけるIntegrinbeta_1とbeta_3濃度は健常者と比較して、慢性肝炎、肝硬変は有意な高値をとった(p<0.005)。さらに肝硬変では慢性肝炎よりも有意な高値を示した(p<0.005)。慢性肝疾患における血清integrin、とくにbeta_3の増加には、肝臓以外に、血小板のIntegrinの表出の増強も一因として考えられた。【.encircled2.】細胞接着因子のなかで、integrinalpha_Lbeta_2(LFA‐1)をリガンドとするintercellular adhesion molecule‐1(ICAM‐1)およびintegrinalpha_4beta_1(VLA‐4)をリガンドとするvascular cell adhesion molecule‐1((VCAM‐1)をアルコール性肝障害で測定したところ、アルコール性肝炎における血清ICAM‐1濃度はアルコール性肝線維症、肝硬変と比較して有意に増加していたが、血清VCAM‐1濃度は、アルコール性肝炎で増加するものの、他の病型との間で差を認めなかった。肝の免疫組織学的検討でも、肝細胞膜および内皮細胞での発現はICAM‐1のほうが強かった。これらの成績から、アルコール性肝炎の発症には、VCAM‐1/VLA4系よりもICAM‐1/LFA1系の関与の大きいことが示唆された。
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