研究課題/領域番号 |
03670386
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研究機関 | (社)北里研究所 |
研究代表者 |
土本 寛二 北里研究所, 病院, 内科部長 (70155399)
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研究分担者 |
渡辺 憲明 北里研究所, 病院, 内科医長 (80167155)
日比 紀文 慶應ガンセンター, 診療部長 (50129623)
鈴木 達夫 北里研究所, 病院研究部, 部長 (40072409)
山田 高也 北里研究所, 病院・バイオメディカル, 主任 (50191317)
濱田 慶城 北里研究所, 病院, 内科医長 (00137994)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / 実験腸炎 / 大腸特異抗原 |
研究概要 |
潰瘍性大腸炎およびクローン病の病因や腸炎の持続に全身あるいは腸管局所の免疫異常の関与が言われている。今回、ハプテンの2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid(TNB)、SH基のブロッカーであるN-ethylmaleimide (NEM)を用いて二種類の慢性大腸炎を作成し、その免疫学的変化を検討し、さらに潰瘍性大腸炎における大腸特異抗原の追及を行い以下の結果を得た。【1】TNBの注腸により大腸にULIII程度の潰瘍ができた。潰瘍部には著明な好中球、マクロファージ、T細胞の増加を認め、潰瘍周囲の粘膜には好中球、マクロファージ、T細胞、特にヘルパーT細胞の増加を認めたが、IgAやIgG陽性細胞は相対的に減少していた。さらに漿膜側に肉芽腫も認められた。【2】TNB-BSAにて免疫後、TNBを注腸したものは、非免疫のものに比して、血中のTNBに対する抗体価は上昇しており形態的には潰瘍が有位に増大していた。腸管局所の免疫担当細胞はT細胞で増加傾向にあるものの有意の差はなかった。【3】NEMの注腸でもTNBと同様の大腸潰瘍ができ、免疫担当細胞の比率や分布もTNB腸炎と類似していたが、IgAやIgG陽性細胞は増加していた。さらに陰窩膿瘍も認められた。【4】T細胞欠損のヌードラットではヘテロに比してTNB注腸による潰瘍はできにくい傾向はあるものの有意差は認めなっかた。【5】大腸特異抗原の追及ではその分子量は200Kダルトンであることが分かった。以上のことから、TNB腸炎はヒトクローン病に類似しており、NEM腸炎はヒト潰瘍性大腸炎に類似していた。これら腸炎モデルは特にヒト炎症性腸疾患の治療法の開発に役立つと考えられた。
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