農夫肺症の発症予防対策を目的に、遺伝的体質要因としてHLA抗原を、実際的予防対策として防じんマスク着用の有効性を検討した。また特異的血清IgA抗体の診断的有用性についても検討を加えた。その結果、次の結論を得た。 1)農夫肺症発症、原因抗原に対する抗体産生と特に関連すると思われるHLA抗原は、今回の検討では認められなかった。 2)最近開発された軽量・小型・低呼吸抵抗の防じんマスクは十分実用性があり、また本症発症の予防に有効であることが確認された。 3)真菌に対する特異的血清IgA抗体の測定は感度に優れ、特に無症状患者と無症状農夫との鑑別に有用であった。 以上の結果は、本症の今後の対策に極めて有用であると思われた。
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