ヒト好塩基球性白血病細胞株KU-812FのcDNAライブラリーより得られた二種類HDCcDNAクローンについて、isozymeの存在の可能性を調べる為、既に報告した機能的HDCをコードしているHDCcDNAクローン(pTN-2)に加えて、pTN-1についても解析を行った。その結果前回、pTN-1はの塩基配列889番目に824塩基の挿入部分(A)を持ち、1336番目から1551番目までの部分(B)が欠如しており、したがってpTN-1及び2はalternative splicingによるmRNAに基づくものと考えられことを報告した。更にPCRによる解析の結果A及びBを有するmRNAも存在することが確認され、更にノーザンブロットで認められた2.4及び3.5kb二種類のmRNAのうち大きなサイズのmRNAはAを含んでいることがわかった。実際にA及びBを有するクローンやAを有しBが欠如しているクローンを人工的に作成し、cos細胞に導入したが、HDC活性の発現はみられずisozymeの存在は確認できなかった。またPCR法によりヒト肺、脳、胃組織においてはpTN-2型の2.4kbmRNAの発現のみが認められた。更に本研究の主要な目標の一つに抗体の作成があり、pTN-2の塩基配列1381番目から1713番目までのcDNA断片を発現ベクターに組み込み大腸菌に導入し、HDC蛋白部分である111個のペプチドを精製し、抗原として用い抗体作成を試みたことを前回報告したが、その後の検討により、このペプチドのC末端側の大部分が翻訳後修飾により切り離されることがわかった。 したがって成熟HDC蛋白に対する抗体はよりN末端側のペプチドを用いて作成する必要があることが明らかになった。
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